ダイソーの100円トランプがコスパ最高だった

私は時々マジシャンとして仕事をしているのだが、もっとも消費量が多いアイテムが「トランプ」だ。実はトランプは、マジシャンにとって物凄く重要アイテムであり、使用するメーカーも基本的に限られている。一定以上の品質をクリアしているメーカーの物でないと使いたくない（使えない）というのがマジシャンの本音である。

だいぶマニアックな話になってしまうのだが、一般的に使用されているメーカーは「BICYCLE」という物が多く、他には「Tally-ho」というトランプを愛用するマジシャンも多い。
そんな中、あの100円ショップ大手のダイソーが、高品質・高コスパトランプを突如として発売し、マジシャン業界に衝撃を与えたのだ。

通常トランプは450円〜1500円と幅広いが、よくある金額感は500円前後である。それでも安いと思う人はいると思うがマジシャンにとっては何個も消費する使い捨てアイテムなため、それに500円もかけるということにとても抵抗があるのが事実。

そんな中、ダイソーから発売されたトランプは、もちろん100円。税込で110円だ。破格のトランプだがその品質はなかなかよく出来ている。
そんな噂のトランプを紹介していこうと思う。

デザインを詳しく解説。

CIRCUSという名前のトランプ。
デザインは、正直イマイチだが、悪いわけではない。まあ、普通といったところだが重要なのは品質だ。箱の裏面はご丁寧に注意書きや説明が記載されている。これはデザインの観点からするとマイナス点。
しかし、パッケージにはフィルムが付いており、さらにトランプを開ける際のシールが付いていない点に関しては非常に高い評価をつけたい。

スプレッドしてみると、裏面のデザインはこのような感じになっている。
安いトランプだと1枚1枚の境界線に白縁が無いものが多く、広げた際に目が痛くなる欠点があるが、このダイソートランプは広げた際にカード1枚1枚に白縁が付いているので、枚数を把握しやすくなっている。デザインの密度もそこそこ高く、マジック用途において特に問題なく使用できる品質になっていることがわかる。

表面のデザインはやや小柄な印象で、スプレッドした時に見える数字とマークがこじんまりとした印象を受ける。これは少しマイナス点であるが、100円と思うと許容できてしまう。

ジョーカーのデザインは独特で、細かい部分まで繊細に描かれている。

100円とは思えない紙質と肌触り。

デザインを一通り見ていったが、肝心なのは触り心地と質感だ。
結論から言うと、「少し硬いが、エンボス加工されており、ニス加工により滑りは良好で、100円で買えるとは思えないいいトランプ」だ。しかしプロの現場からすると「最大の欠点がある関係で実演では使えない」というのが本音だ。一体どういうことか説明していこう。

持った感じは、通常のポーカーサイズと同じなので違和感はない。ただ、なんとなく紙質が硬く、指が痛くなる感覚がある。表面にはエンボス加工がほどこされており、「よく100円で作れたな…」と思うほど滑りも素晴らしい。

しかし、これが最大の欠点。

じつはこのトランプ、製造過程でミスがあったのか分からないが、
「ストリッパーデック」になってしまっているのだ。ギミックカードの種類なので詳しく解説しないが、見ての通りデックの中に紛れ込んだ天地反転のトランプがパッと見で認識できるようになっている。

2枚目立っているカードがあるが、これが天地反転されたカード。つまりストリッパーデックになってしまっているのだ。
ただ、逆に言うと「100円でストリッパーデックが購入できてしまう」ということなので、これはこれで高コスパとなる。全部が全部こうなっているかは定かではないが、購入した５つくらいのうち、全てのデックがストリッパーだった。

ストリッパーデックを安価で手に入れたいならダイソートランプで決まり。

ある意味高コスパのこのカード。
一部の人にはオススメできる物になっているので、この特徴を知った上で、ぜひダイソーで購入してみてほしい。もし今後裁断のクオリティが上がって均一なデックになってくれれば間違いなくコスパ最強のトランプになることだろう。