【作例アリ】ライカ初のスマートフォンLeitz Phone 1は「スマホ付き1インチセンサーコンデジ」だった。
長らく更新が止まっていたParaphだが、ようやくプライベートのことや仕事が落ち着いたので久々に記事を書いている。
Youtubeをご覧になられている方はご存知かもしれないが、私はライカ初のスマホであるLeitz Phone 1をヨドバシカメラにてお得に購入しており、今もなおメイン機として利用している。さまざまなメディアではすでに開封レビューや本体をじっくりと見た外観レビューなど、多くの記事が出回っているので、この記事では本体外観は触れるものの、スマホ自体の詳細なスペック周りには触れない。その代わりカメラの描写性能にフォーカスを当てた記事となっている。
多くの作例とともに、Leitz Phone 1の魅力と、購入すべき方、購入すべきではない方を私なりに紹介していきたいと思う。
高級感あふれるボディはライカデザインそのもの。
一応触れておきたいのが、このスマホは正真正銘の「ライカ デザイン」であるということだ。スマホ自体の中身はSHARP AQUOS R6と全く同じとなっており、製造自体もSHARPが担当している。
しかし、ボディのデザインや素材と加工へのこだわり、カメラアプリのUI周りなど、随所にライカらしいエッセンスがまぶされている。
ただ、販路に欠点がある。
Leitz Phone 1はSoftBankの独占販売なのだ。大人の事情があるのだろうが、ライカのブランドイメージを一気に落としてしまうのが残念だと思った。パッケージは至ってシンプルだが、パッケージ自体には高級感は感じられないのは残念ポイントだ。
しかしながら、箱を開けると中には高級感あふれる美しい本体が入っている。
アルミをまとった外装はLeica Tを彷彿されるかのような美しさを持っている。ボディには立体ロゴが埋め込まれたフラット状の赤いバッジがついている。意外と高級感がある。
付属するケースには凹凸のある立体ロゴバッジが埋め込まれている。シリコン製のケースだが、こちらも高級感があり、さすがライカ。と思わせてくるあたりが素晴らしいと感じた。
本体下部にはDESIGNED BY LEICAの文字がうっすらと刻印されている。さりげないあしらいが素敵だ。
側面はギザギザした加工が施されており、手で持った時にグリップ感が増すデザインとなっている。非常に薄い端末で滑りやすいアルミとガラスボディだが、このギザギザのお陰で多少は落下防止性能が向上する。
1インチセンサーを搭載した19mmという広角画角の単眼レンズは、一体どんな描写をしてくれるだろうか。以下、たくさんの作例と共にLeitz Phone 1のクセと、得意な物、苦手な物を紹介していく。
じっくりと、ゆっくりと。時間をかけて撮るカメラ。
19mmという広角の画角だが、目の前に置かれた被写体との距離によってはご覧の通り背景がキレイにボケる。これは通常のスマホだと考えられないくらいキレイで自然なボケ味だ。さすがは1インチセンサーと言えるだろう。
撮影はRAWで。そしてLightroomアプリにて色味の加工を施しているのだが、RAWで撮影するとLeitz Phone 1は相当キレイに撮れることに気づく。
標準アプリで撮影すると、マニュアルモードでのみRAW撮影ができるのだが、通常モードによる撮影はJPGになってしまう。標準アプリでJPGに現像された写真を見えると少し解像感が弱い写真になるので、個人的にはLightroomアプリ内のカメラ機能を利用した方が良い写真が撮れるので、こっちをオススメしたい。
広角レンズは建物や風景を撮影するのに適している。奥行きのある構図ではダイナミックさが演出され、これまでのスマホでは難しかった立体感がしっかりと描写される素晴らしいレンズが搭載されている。
ただし、細かく見ていくとこのレンズの欠点である「フレア」問題が発生してしまっていることに気づく。写真の左上に紫色のモヤがあるのが見える。これは太陽光の光が反射して入り込んだレンズフレアに歪みが生じ、映り込んでしまった跡だと思うのだが、オールドレンズのように光が入り込んでしまう。それがキレイならいいのだが少しムラのある感じで入り込んでしまうのが欠点だ。
(もしかしたら個体差がある可能性もある)
マグネットでくっつくレンズフードのようなアクセサリーが販売されたらいいなと思った。
この写真は19mmではなく、1倍に拡大して撮影した写真だ。植物の描写も素晴らしく丁寧な印象を受ける。ボケ味も美しい。
ローキーで撮影してみた花の写真。とても綺麗だが、ややノイズは目立っている。特にLeitz Phone 1は、RAW撮影した写真だとカラーノイズが異常に乗りやすい傾向にあるため、全体的にザラついた質感になりがちである。ただ、これは決して欠点とは言えず、人によってはこれが好き。という方もいるだろう。
日当たり良好な場所だとバシッと撮影できる。スマホにしては暗所は強い方だが、カメラとして考えると暗所は弱い。明るい場所ならピントもバッチリ当たってくれる。という特徴がある。
明るい店内での撮影も特に問題なくピントもビシッと合ってくれる。ボケ感も滑らかで気持ちがいい。
以下、コメント無しの作例をいくつか添付する。
Leitz Phone 1は標準アプリのオート撮影で写真を楽しむよりは、Lightroomアプリのマニュアル撮影、もしくは標準アプリのマニュアル撮影で、一眼レフ感覚でじっくりと、ゆっくりと撮影したい方に向いている。
ただし、猫や人物、風の強い環境での植物といった動的な被写体には向かない。
時間をかけて数値を調整し、何度もシャッターを切ってみて美しく撮れる瞬間を楽しむようなカメラ好きにオススメのスマホとなっている。
子供やペットは本当に撮影難易度が上がってしまうので、そういった被写体を撮りたい!と思っている方にはオススメできないので注意しよう。
モノクロの世界が美しく、楽しい。
Leitz Phone 1には、AQUOS R6には搭載されていない独自のモノクロ撮影機能「Leitz Looks」が備わっている。このモードで撮影すると、目の前の景色がまるで映画のワンシーンのようなストーリー性が高まったモノクロの世界に移り変わる。
分かる人には分かるだろうが、Leitz Looksは単純に彩度を0にしたモノクロではない。単純なフィルターでは実現できないライカらしいモノクロ処理になるので深みのある写真が撮影できる。
人物を撮ってもいいし、風景にも合う。ライカらしさを楽しむことができるのがLeitz Looksなのだ。
良いところと、悪いところについて。
3週間ほど使用して感じた良いところ、悪いところが明確に見えてきたので下記にまとめたいと思う。
Leitz Phone 1はどんな機種?
まず一言で言うならばLeitz Phone 1は「スマホというよりは、スマホ付きコンデジ」だと言うこと。
包み隠さずに言ってしまうと、ソフトウェアはイマイチな仕上がりとなっている。せっかくの1インチセンサーとライカレンズを搭載しているのにも関わらず、ソフトウェアの詰めが甘いせいで、カメラのシャッターラグやフォーカスが合わなかったりと、色々不便が多すぎる。
そのため、通常のスマホのような「気軽にスナップしてSNSにアップする」といったスピードと手軽さが求められる撮影には不向きだ。なぜならフォーカス精度が甘く、遅く、シャッターにラグがあるから。シャッターボタンを押してから数秒後にシャッターが切れることなんてザラにある。
それってカメラとしてどうなの?と言われれば、悪いことなのだが、それでも「カメラが好き!ライカが好きなんだ!」そういった方には向いているカメラなのかもしれない。
良いところ
とは言え、Leitz Phone 1はとても良いカメラだと私は思っている。そもそも1インチセンサーを搭載したライカレンズがスマホとしてリリースされたことが素晴らしいことだと思う。これまでHUAWEIでもLeicaコラボは存在したが、ライカ自身がデザインし、さらに赤いバッジロゴまで埋め込まれたボディはかつて存在しなかった。これはファンからするととても嬉しく、所有欲が満たされるプロダクトと言えるだろう。
そしてカメラ性能に関しては、RAW撮影するとさすが1インチセンサーだ。と思わせてくれるほどキレイに細かく描写してくれる。撮る楽しさが溢れる魅力たっぷりのスマホ付きカメラと言える。
あとはLightroom等といったアプリを利用することで、撮影後そのままレタッチ→現像ができる点も素晴らしいと思う。明るい場所ならコンデジで撮影したかのようなボケ感のある写真が撮れるので、照明をたいたブツ撮りでない限り、Leitz Phone 1で代用可能だと思った。
悪いところ
カメラとして、たしかな性能を誇る素晴らしい機種だが、正直なところ“未完成感”が否めない仕上がりとなっているのが現状だ。
これはハードウェア的な話になるが、画面がラウンド加工されているエッジスクリーンがかなりのマイナスポイントとなっている。私が3週間程使用している限りでは、誤操作の頻度が多すぎて投げ出したくなる時があるくらい、画面の側面がタップしにくい物となっていた。見た目は良いのかもしれないが、できればユーザーの利用するシーンを想定して不採用を選んで欲しかったところだ。
あとは、カメラが19mmという広角の画角という点だ。
これは好き嫌い分かれる部分だと思うが、個人的には24mmあたりにしてほしかったなという印象だ。1インチセンサーを搭載しているのにも関わらず、19mmだとボケ味も少し弱めになってしまい、センサーサイズのメリットがあまり活かされていないと感じてしまった。また、カメラアプリのデフォルトが「1倍」なのも気になった。19mmを搭載しているのにも関わらず、カメラを起動した時のデフォルト画角はなぜかクロップされた画角になってしまうデメリットがある。できれば19mmをデフォルトとしてほしかった。
あとは肝心のカメラアプリが未完成すぎると言う点が悲しいデメリットとなった。ソフトウェアの作りが甘いからか、フォーカススピードは遅く、ガラス越しの被写体はピントが90%くらい合わない。そして本体が発熱を起こすとシャッターに数秒のラグが発生し、しまいにはアプリが落ちてしまう。そうなってくるとカメラ自体起動することができず、撮りたかったシャッターチャンスを見事に逃してしまうことになるのだ。
これはカメラとして致命的な欠陥であり、あってはならないバグ・仕様と言えるだろう。アップデートで改善されるのであれば期待したいところだが、その辺が弱い日本メーカーだと期待は薄い。
ぜひ2世代目はSHARP以外で製造して欲しいところだ。
最後に。
価格が最大のデメリットだと思う。
ライカだから19万円と聞くと妥当と思われるが、中身はSHARPのAQUOS R6だ。その差はほぼ無いと言っても過言では無い。AQUOS R6は11万円ほどなので、この2機種の間に8万円の「デザイン費」が上乗せされているわけだ。それでもライカが好きだ!ライカが欲しい!カメラが大好きなんだ!という方は買ってもいいかもしれないが、すでに不満のないスマホを持っているのなら、20万くらい手に持って中古のLeica カメラを購入した方が幸せになれると思う。
ソフトバンク専売モデルだが、ヨドバシカメラ等のソフトバンクショップでSIMフリー端末かつ契約なしで購入することが可能だ。
メルカリなどの転売価格で買うのはバカらしいので、ちゃんとした販売ルートで購入しよう。
カメラが好きで、じっくりと時間をかけて丁寧に写真を撮りたい、しかもスマホで撮りたい。そんな方にはオススメのプロダクトだ。気になる方は下記のリンクから詳細と、動画レビューを確認してみてほしい。
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